文献によって異なる割合/年齢によって変わる多汗症
●文献によって大幅に異なる多汗症の割合
多汗症の割合は文献によって大幅に異なります。このような事が起こる理由には、研究方法、定義、研究対象の民族構成、年齢、性別、および環境の違いが考えられます。
日本における多汗症の割合は一般的には約5%と言われていますが、他の文献では12.8%程度と推定されているものもあります。
アメリカにおいても、多汗症の割合は約2.8%と言われてきましたが、改めて調査をしたところ4.8%程度なのではないかという研究結果があります。
他にも、多汗症に民俗的な差はあるのか調査をしたが、統計学的にみると明らかな差は見い出せなかったという報告があります。
また、自身で重い多汗症だと認識していても、多汗症が病状だということがちゃんと認識されていなかったり、治療法があることが知られていなかったりなどの理由で、その半数しか病院にかかったことがないというデータも出ています。
多汗症の要因については分かってないことが多く、定義も曖昧です。まずは「多汗症」自体への認知や関心を高めていく事が重要かもしれません。
●年齢と多汗症
多汗症で医学的な支援を求める人のほとんどは、30歳未満であることが多いようです。それは、生理学的なことや心理的、社会的側面など様々な要因が考えられます。
データ上では年齢と共に減っていても、それは、年齢によって多汗症がなくなったのか、それとも他の要因で症状が落ち着いたのか、実は多汗症者の数は変わらず体感が変わっていったのか等、実際のところは、はっきりとは分かりません。
しかし、原発性多汗症は、年齢に伴って劇的に減り、特に掌蹠多汗症(手のひらと足の裏の多汗症)では顕著にその傾向が現れると言います。ほとんどの場合、原発性多汗症は年齢とともに軽度になるか、解消することさえあるようです。単に汗に関する体感が変わったとも考えられますが、原発性多汗症が生涯にわたる状態ではないことを示唆している可能性も考えられます。
まとめ
今回は、多汗症の割合に着目し、世界での多汗症の割合、年齢によって変わる多汗症の割合について紹介しました。あせあせタウンでも、汗に関する情報を発信することで、多汗症の認知度や関心向上に繋がればと思います。
参考
Hyperhidrosis: an update on prevalence and severity in the United States
Hyperhidrosis Prevalence and Demographical Characteristics in Dermatology Outpatients in Shanghai and Vancouver